目が覚めるとベッドの上でした。
側にはミューヌさんが居て、私の体を気にかけてくれました。
大御霊祭りで倒れた私を、宿まで運んでくれたそうです。
「ここのところ事件に次ぐ事件で、疲れていたのかもしれない」
ミューヌさんはそう言いながらも、私をじっと見て「もう大丈夫そうだね」とほっとした表情を見せ、仕事に戻っていきました。
去り際に、カヌ・エ様が私に用があると伝え聞いたので、一息ついたら会いに行ってみましょう。
カヌ・エ様のもとへ行くと、2つの封書を渡されました。
第七霊災から5年を節目として、近く行われる『カルテノー戦没者追悼式典』に関する書類が入っているそうです。
グリダニアの同盟国の盟主に、それを届けてほしいというのが、カヌ・エ様の用件でした。
め、盟主に・・・?
一介の冒険者の私が・・・?
あまりにも大役なので戸惑う私に、「グリダニアのために尽力してくれたあなたに任せたい」とカヌ・エ様。
私がうなずくと、カヌ・エ様は「良かった」と微笑みました。
世界を見てまわってきなさい、とカヌ・エ様に言われて、あの大きなクリスタルの夢で聞いた”世界を巡って光のクリスタルを・・・”という言葉を反芻すると、カヌ・エ様は意味ありげに笑いました。
「マザークリスタルに導かれし、『超える力』を持つあなたにしかできないことが、きっとあるはず」
カーライン・カフェに戻ってミューヌさんに伝えると、自分のことのように喜んでくれました。
私の働きがグリダニアに認められたのだと。
困ってる人を手伝ってただけなのですけど・・・大げさに言われるとちょっと恥ずかしいです。でもすごく喜んでくれてるから、やはり嬉しい。
同盟国には飛空艇で向かいますが、それだって誰でも許可がもらえる乗り物ではないのです。
それもグリダニアの代表として。
改めて大役なのを意識して、緊張してきました・・・。
出発時には、大勢が見送ってくれました。
飛空艇に乗るのは初めてです。
ですが乗り込んだ瞬間から、不安や緊張は吹き飛びました。
だって新しい街、新しい景色です!
見たことのない場所へ行くとき、なぜこうも胸が高鳴るのでしょうか。
初めて旅に出た日の気持ちを思い出しながら、私は飛空艇の向こうに広がる景色に見惚れるのでした。